タイ航空、増資未達も影響なし ウータパオMROに100億バーツ投資へ

タイ航空の最近の増資(2024年12月6-12日)で、982.2万株の新株発行は目標を大幅に下回った。既存株主(2024年10月31日時点)、従業員、私募投資家による引受は513万株にとどまり、事業再生計画管理委員会は未発行分を取り消す決定を下した。

チャーイ・イアムシリー最高経営責任者(CEO)は、今回の増資の主な引受先は財務省だと述べ、予想を下回る結果となったことを認めた。しかし、資金調達の観点では、大きく目標を外れてはいないとした。

当初、最低価格2.5452バーツで250億バーツの調達を見込んでいたが、実際の発行価格4.48バーツで230億バーツを調達、目標との差は20億バーツにとどまった。

目標未達の主な要因として、以下の2点を挙げた: 1. 上場までの流動性制限期間が通常の3-4日に対し6ヶ月と長期 2. 持続的な成長への懸念、特に将来の経営の独立性について

「国営企業でなくなることで経営の柔軟性は高まるが、政府が大株主である限り、将来的に経営に介入する可能性への懸念は残る」とCEOは語った。

新取締役会は2025年4月に発表

財務省と国営企業の持株比率を50%未満とし、完全民営化を約束しても投資家の信頼を得られなかったのかという質問に対し、CEOは「最も重要なのは、将来の取締役会メンバーのビジネス資質だ」と回答した。

取締役会は規定により3分の1を独立取締役とし、全体で5-15名の構成。15名の場合、独立取締役は5名となる。その他はCEOの1名と、株主比率に応じた配分となる。現在、政府系が40%以上を保有し、残りは金融機関、社債権者、個人株主となっている。

新取締役会選任のための株主総会は、2025年2月末の決算承認後、4月中旬に開催予定。新取締役会の構成は、2025年6月の株式市場再上場に直接影響するため、株主は慎重に投票する必要がある。

過去の教訓から、航空事業に関する知識・経験が不足した取締役会は、事業の進展を遅らせ、方向性を変える可能性があるとした。

ウータパオのMRO事業に100億バーツ投資へ

増資による調達額が20億バーツ不足することの影響について、CEOは「現在の手元資金は予想を上回っており、230億バーツで十分」と説明した。

増資資金の主な使途は: 1. 新規発注した45機の航空機の支払い(頭金は既に支払済) 2. ボーイング777-300ERなどのワイドボディ機の改修と新規機材の基本装備投資 3. ウータパオ、ドンムアン、スワンナプームの3カ所での整備施設(MRO)建設

最初の投資先として、ウータパオ(ラヨーン)のMRO施設に約100億バーツを投じる計画。

「タイ航空は投資準備が整っており、212ライの土地利用計画も策定済み。バンコクエアウェイズとも協議を進めており、国内事業者による運営で合意している。出資比率は未定で、EECの土地使用権承認を待っている状態」とCEOは述べた。

新規45機は2027年半ばから導入

新規発注の45機(ボーイング787)は、2024年から2033年までの9年間で納入予定。2027年半ばから順次導入を開始し、同時に既存機14機の改修も実施する。

2027年半ばには、44機の統一された機内仕様の航空機を保有することになり、製品の一貫性が向上する。

2025年には新たに4機(A321 1機、A330 3機)が第3、第4四半期にハイシーズン向けに加わる予定。さらにA330 8機のリース交渉も進行中で、第4四半期での導入を目指している。

新規機材導入の主な目的は: 1. 輸送能力の増強 2. 現行機材の負担軽減(現在の稼働率は1日平均13時間と高水準、特にロンドン・日本路線のボーイング777-300ERは1日16時間)

中国・インド・日本路線を強化

新規導入機材は、6-7時間のミドルホール路線の増便・新規路線開設にも活用する。中国は現在5都市就航(コロナ前は8-9都市)、インドは9都市就航中で、日本路線も増便・新規路線を検討。地方都市路線とブルーオーシャン市場を重視する。

また、スターアライアンス内外での提携(コードシェア)拡大も進める。

国内線・近距離路線では現在A320を20機保有し、A321を32機追加予定。インターコネクション販売を強化し、単純なポイントツーポイント販売から収益性向上を図る。

2025年の旅客数は国内・国際線合計で1,650万人を見込む。

世界の航空需要は継続的に増加し、航空機不足は今後3-4年続く見通し。エアバスとボーイングの受注残は約15,000機で、納入に10年以上を要する状況だとCEOは付け加えた。

2025年1月4日 プラチャーチャートトゥラキットオンライン(2025年1月4日)