3つの不動産協会が環境影響評価（EIA）の改正を要求、6,000億バーツの投資を解放

3つの不動産協会、バンコク都庁と協力し、「バンコクEIA 2024」の方向性を探るためのフォーラムを開催。年間2.5～3千億バーツのコンドミニアム投資の解放を目指し、提案が殺到。国家公務員の裁量権を縮小し、標準的なCode of Conduct（行動規範）やガイドラインを作成し、審査期間を5年から1年に短縮することが求められている。チャチャート知事の顧問であるトーサック氏は即座に行動を起こし、2025年にEIAガイドラインを導入する予定であると説明。

不動産業界は長期的な経済低迷による複数の課題に直面しており、購買力の低下に加えて、プロジェクト開発許可の申請に関する問題にも対処しなければならない。特にコンドミニアムに関しては、8つの機関から9つの許可を取得する必要があり、その中には環境影響評価（EIA-Environment Impact Assessment）の承認申請も含まれている。

最近、3つの不動産開発協会、すなわちタイコンドミニアム協会、住宅開発事業協会、タイ不動産協会は、バンコク都庁と共同で「バンコクEIA 2024の方向性」というテーマのセミナーを開催し、政府と民間の協力による機会を模索した。

EIA許可申請の基準を策定し、裁量権の行使を減らし、標準化された形式を使用することで、国家公務員に透明性を持たせ、民間部門が行政手続きをより容易に進められるようにすることを目指している。

行動規範（Code of Conduct）の作成を提案

タイコンドミニアム協会のプレサート・テッドゥンヤーサーティット会長は、3協会のメンバーの意見を集約した結果、EIAの問題は構造的な問題と運用面での問題の2つに大別されると述べ、以下の提案を行った。

「構造的な問題」は3つの主要な点があり、1つ目は、民間が法的に適切に行動できるようにするための行動規範（Code of Conduct）やガイドラインを作成し、透明で公平な形にすること。現在、EIA審査は「専門家委員会（คชก.）」が行っているが、関与する政府機関が異なるため、EIA審査の標準が統一されていない。

そのため、建物のサイズに応じて、1.1. 構造と基準のCode of Conductを提案。10,000平方メートル以上の大規模建物については完全なCode of Conductを、小規模建物（10,000平方メートル未満）については簡易版のCode of Conductを作成することを提案。

1.2. 審査期間については、従来のプロジェクトにより審査速度が異なり、3～4年かかるケースもあるため、土地分譲許可審査のように標準化された時間枠を設けることを提案。

EIA審査項目の整備

EIAに必要な14の審査項目を整理する提案があり、以下のように分類された。

2.1 気候、地形、2.2 地質、土壌と水資源、2.3 生物資源（陸上・水中）、2.4 水利用、排水管理、洪水対策、2.5 廃棄物管理、2.6 エネルギーと電力の利用、2.7 騒音、振動、気候、2.8 交通、2.9 土地利用、2.10 火災防止・自然災害対策、2.11 社会・経済、2.12 市民の参加、2.13 美学・景観、2.14 日照遮断・風向への影響

法律の対立問題を解決

法律が対立する場合、どちらの法律を優先すべきかの基準を設ける必要がある。例として、EIA申請中にSales Office（販売オフィス）の建設許可も同時に申請するケースでは、建築基準法に基づき許可されているが、EIAの審査ではSales Officeの建設が許可されない場合がある。

また、消防用車両の駐車場や電気自動車（EV）用の充電ステーションに関しても、建築基準法とEIA基準に矛盾が生じている。

裁量権の行使を減らすための7つの提案

プレサート氏は、運用面での7つの提案を次のように示した。

1. EIAの各項目について標準化された対策を設けること。

2. 専門分野ごとに委員が審査を行うこと。

3. アンケートを簡素化し、関係者が効率的に意見を述べられるようにすること。

4. 提出書類の電子ファイル化を推進し、環境保護に貢献すること。

5. 隣接する土地所有者が協力しない場合のガイドラインを設けること。

6. EIA審査において現実的かつ効果的な対策を策定すること。

7. 建物内部の緑地基準を設けること。

バンコク都庁、2025年にガイドライン導入

バンコク都知事の顧問であるトーサック・チョーティモンコン氏は、バンコク都庁がEIA審査に関わってきたが、多くの関係機関との調整が必要なため、審査の遅れが生じていたと説明。今回のセミナーを通じて、過去のEIA審査の遅延問題が解決に向けて一歩前進することになる。

バンコク都庁は、政府と民間の協力を進め、標準化されたCode of Conductを2025年までに導入することを目指している。

「EIAは、選挙前から私たちが注目していた問題です。今回、EIA審査プロセスのデジタル化により、これまで15部の書類が必要だったプロセスが1つの電子ファイルで完了するようになります。」とトーサック氏は述べた。

年間3千億バーツのコンドミニアム投資が影響を受ける

不動産業者によると、バンコクだけで年間6千億バーツの不動産投資が行われており、そのうちコンドミニアム開発が2.5～3千億バーツを占めている。EIA審査の遅れは、開発コストの増加につながり、最終的に消費者がその負担を負うことになる。

EIA申請費用も増加しており、従来の80～90万バーツから現在では400～500万バーツに達している。

バンコク都庁の審査は平均で1～2年かかるが、一部のプロジェクトでは5年かかることもある。民間部門は、1年以内に審査が完了することを望んでいる。

2023年7月13日  プラチャーチャートビジネスオンライン（2023 年7月13日）